※この記事は、2022 Speee Advent Calendar 9日目の記事です。
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こんにちは、PM(プロダクトマネージャー)の嶋です。2018年にSpeeeに来てから現在までイエウール事業を担当しています。あと、嶋稟太郎 @smrntr という名前で短歌をしています。
昨年2021年11月からSpeee社内で短歌部の活動をはじめて、それからちょうど1年後「文学フリマ東京35(略称:文フリ)」に出展しました。
万葉集から数えること1400年、短歌の長い歴史の中でも「企業発の部活で短歌同人誌を作って展示即売会に出た」のは史上初の試みだったかと思います。満足のいく仕上がりの同人誌ができたこと、なにより活動を続けてきて純粋に楽しかったのでここまでの振り返りを書きたいと思います。
ここまでの大まかな流れ
2021年10月に短歌とプロダクトマネジメントの共通点を開発者ブログに書きました。
上記のブログをきっかけに少人数で短歌を作って読み合う「歌会」を行ったのが11月で……
オフィスの会議室を借りるには部活申請が必要ということで12月に短歌部を作り、そこから毎月1回歌会を続けています。現在では部員30名(社内slackの短歌部チャンネル参加者)の規模まで大きくなり、その中の有志のメンバーで文フリに出店しよう!と決めたのが5月でした。
それから半年、少しずつコンテンツを作ってできたのがこちら。
(文フリのwebサイトに遷移します)
c.bunfree.net
本当にありがたいことに当日販売分は完売しました 🎉
同人誌ができるまで
流れはこんな感じです。
- コンセプト・誌面構成を決める 5月〜9月
- 作品を作る 5月〜9月
- デザイン確定 10月
- 同人誌の印刷 11月
- 文フリ出店 11月
1. コンセプトを決める
5月時点のコンセプト。メモは部員の悠さんによるもの。この時点で大まかな方向性は決まっていました。
ここから最終的な内部向けの方針を決めたのが9月↓
2.デザインを決める
9月末の時点で寄稿者を決めて同人誌のデザインを決める作業に入りました。
shy_azusaさんがAIで出してくれた画像をもとに表紙の装画を決めて、嶋が表紙のラフ案を作成。
他の案との比較(右の写真は椎木さんによるもの)
タイトルはみんなでいくつか案を出して決めました。
表紙ラフ案と決定したタイトルを合わせたもの↓
これをもとに表紙と本文を組版デザイナーの麻川針さんに依頼しました。
麻川針さんの紹介↓
ロゴのラフ案を作って麻川さんに相談。
ラフ案(Centry Gothic 斜体)
ここからいくつか案を出していただいて、
細かい印象の違いをお伝えして認識を合わせた上でフォントを決定しました。
最後に選んだのがこちら。
スタイリッシュ&ほどよく柔らかいフォントに着地しました。
(印刷部数の見立て)
印刷部数によって印刷費用が大きく変わります。組版や装飾など費用も含めて利益が出ないかつ赤字にならないギリギリの部数になるように、3月に発行したネットプリント※ からSNSで拡散される量や配布数を予測しました。
ネットプリントは2ページのチラシでしたが原稿作成〜配信まで一通りを体験できたので同人誌の前哨戦として知見を得られたと思います。
※ネットプリントとは
紙媒体で作品を配信する方法のひとつ。
コンビニのマルチコピー機で印刷物を出力できるサービスです。セブンイレブンが提供するものを「ネットプリント」、ローソン・ファミリーマート等が提供するものを「ネットワークプリント」といい、これを略してネプリと呼んでいます。 /最適日常 | 短歌といろいろ楽しい毎日
白黒/ A4 / 2ページ / 40円(印刷費用として)
3. 校正
最後に出来上がった原稿を整える工程、それが校正です。
自分で見てもわからない誤字脱字や表現を確認しました。(赤入れの文字は悠さんによるもの)
ここからさらにいくつかの修正を加えて……
完成 🎉
4. 印刷する
印刷は自分たちではできないので印刷会社に依頼しました。
同人誌を幅広く手掛けている会社。印刷した冊子を文フリ会場まで届けてくれるサービスがあり助かりました。
5.文フリに出店!
ブースの仕様をもとにラフを起こして装飾を決めました。
当日のブースの様子
ブースの裏側はこんな感じ
文フリを終えて 〜同人誌作りから学んだこと〜
この一冊を作るために多くの方の力をお借りしました。デザイナーや印刷会社の方、そして部員みんなの力があってこそ刊行できたと思っています。
短歌部のメンバーには仕事上の関わりがない方がたくさんいます。歌会の時にしか話すタイミングがない方、メッセージを一度もやりとりしたことがない方もいました。それでも作品の寄稿や印刷費用のカンパ、文フリ当日の売り子まで協力いただけて本当に感謝が尽きません。
PM(プロダクトマネージャー)の仕事はプロダクトを育てることです。
理想の姿を決めて計画を立てて必要なリソースを調達しプロジェクトを遂行する。これくらいの粒度で考えると同人誌を作るプロセスも一緒ですが、同人誌の場合は「応援してくれる人が少しずつ増えていく」のが予想していなかった良かったところでした。
上に書いた途中経過を見てわかるとおり私一人だけで決めたところはほとんどありません。これが良いと思ってる!という議論の叩きになるアイディアは出しましたが、もっと良いアイディアが出てきて積み重なっていきました。
ここまでの学びは「本気で良いと思っていると発信し続けると自分の想像を超える良いものができる」です。
仕事のプロジェクトの場合はチームで進めるもので、はじめに役割を分けて複数人で同じ目標を追うことが多いです。そんな仕事とは違った”ゆるいつながり”を中心に半年がかりのプロジェクトを進めたのは初めての経験でした。今回の同人誌のようにその時々で興味を持った人に協力してもらえるのは新鮮な体験でした。
事業のフェーズが変わってきたこともあり、長い時間軸のプロジェクトを進めていく機会が増えてきています。「いますごくいいプロダクトを作ってるぜ!」と心から思えるものを考えて発信し続ければ、どんなに大きなプロジェクトでも成果を出せるんじゃないか、と改めて感じています。思いがけず大きな自信をもらえたプロジェクトでした。
その後
現在「isshu vol.1」Kindle版を準備中でして12/11(日) にリリース予定です。
短歌作品のほか、短歌部を作る上での葛藤や社内への短歌の広まり方も書いております。ぜひご覧くださいませ。
(おしまい)
この記事を書いた人
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