こんにちは。エンジニア上がりプロダクトマネージャー見習い橋本です。 Product Manager Conference 2017、2日目のレポートをさせていただきます! 2日目はプロダクトマネージャー視点の組織づくり、Eng上がりのプロダクトマネージャーの話、Googleのプロダクトマネージャーの育成について聞ける1日でした。
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則
仲山 進也氏/仲山考材(株)代表取締役・楽天(株)楽天大学学長
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則―『ジャイアントキリング』の流儀
既存のチームで最大の成果を出すためのチーム作りの法則を本の著作者から直接聞けるセッションでした。
チームの成長ステージとして、「フォーミング(形成期)」「ストーミング(混乱期)」「ノーミング(規範期)」「トランスフォーミング(変態期)」があり、各期の間にはコミュ量の壁、コミュ質の壁、納得感の壁がある。
- フォーミング期:チームが結成されたばかりで、方向性がバラバラなまま目標に向かおうとしている。(グループ)
- ストーミング期:衝突・対立が起こり、感情もネガティブになり、パフォーマンスが下がる。(グループ)
- ノーミング期:情報共有が進んで、役割やルールが明確になり、目標がメンバーごとに形成され、成果が出始める。(チーム)
- トランスフォーミング期:あうんの呼吸で動けるようになる。チームがあたかも一つの生物のように、目覚ましい成果が生まれる。(チーム)
失敗をする秘訣は、「役割分担をしてから意見を言い合う(ストーミング風なことをいう)」、フォーミング期を経て、ストーミング期に入ることが重要とのことでした。
Product strategyによって組織は大きく成長できる
詫間 亮平 氏/楽天株式会社 レジャーサービス開発課 ゴルフプロダクトマネジメントグループ マネージャー
楽天のゴルフサービスにおいてプロダクトマネージャーが果たした成果の紹介がありました。 プロダクトマネージャーとしてProductとOrganizationの2軸で改革を行うことで、日本のゴルフ人口が減りつつも新たな価値を提供することでゴルファーとゴルフ業界の活性化の事例紹介は素晴らしいと思いました。 Productでは主に、各種KPIの可視化(ゴルファー、ゴルフ場、など)、過去リリースの効果を検証し適切な目標設定(ビジョン)をおこなうことで適切なIssuを選択し問題解決をProductで行うこと。Organizationではビジネス側とエンジニア側双方のコミュニケーションブリッジとして事業全体を前進させる働きをすることでProduct作りを進められる組織運営が行われていました。
多様性を成功に導くプロダクトマネジメント 5選
- 働き方の多様性 | 大阪リモートチームとのプロダクトマネジメント
尾部 絵里子 氏/Sansan株式会社 - 働き方の多様性 | プロダクトマネージャー兼エンジニアが語るリモートワークが当たり前の組織
高木 咲希 氏/株式会社ソニックガーデン - 価値観の多様性 | 国籍の違いに見るプロダクトマネジメント
高橋 りさ 氏/ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 - 組織とキャリアの多様性 | PM文化のない組織にPM文化をつくる
石田 隼 氏/ChatWork株式会社 - 組織とキャリアの多様性 | プロダクトマネジメントをチームに導入するということのリアル
篠原 佳奈子 氏/株式会社ビズリーチ
「多様性を成功に導くプロダクトマネジメント 」をテーマに、5社での取り組み事例が紹介されました。 Sansanの尾部氏、SonicGardenの高木氏からは、主にリモートワークについて。リモートワーク導入にあたっての工夫,ポイントなどを紹介されていました。
SonyMobile高橋氏からは、異なる国で結成されたチームにおけるマネジメントについて。ソニーエリクソンが前身であるために、東京とスウェーデンにまたがって進めるために、具体的に各チームの特徴や背景、文化などでどのような差があったのか、どんなことに注意する必要があったのかをお話しされていました。
ChatWork石田氏、ビズリーチ篠原氏からは、"プロダクトマネジメント"の導入期の取り組みが紹介されていました。ひとりプロダクトマネージャーという立場の石田氏と、組織としての導入をメンバーとして試行錯誤した篠原氏で違いはありましたが、それぞれの経験、立場で行われたことや、その振り返りを紹介していました。
ユーザーの“心の声”を探るUXリサーチ
奥泉 直子 氏/フリーランス・ユーザーリサーチャー
UXリサーチを10数年やられている奥泉氏からのセッション。 所謂UXリサーチの方法や事例だけではなく、人間の認知特性には知覚刺激による認知処理と知識や経験から推察される認知処理の2つがあること、 特に推察による認知処理を理解する点が難しいことなど、人間がいかに物事を知覚し反応するかという認知特性に則ったUXリサーチ手法を設計することの重要性を説いていらっしゃる点が非常に印象的でした。 また、リサーチをする側の人間も同様の認知特性を持っていることで、事実を歪めて認識してしまう可能性すらも理解して設計すべきとされており、 UXリサーチを本質的に精度高く実施するヒントが散りばめられていました。
PMがUXするために必要なのはおそらくIA
小久保 浩大郎 氏/株式会社CAMPFIRE
今回のカンファレンスでUX/UIをメインテーマとしたセッションは少なかったのですが、このセッションではメインテーマとして扱い、UXの概要からプロダクトへの反映までを順を追いながら紹介していただきました。 テープレコーダーを例に、過去におけるプロダクト作りの課題点をUX、UIを軸にPMが考えるべき視点として説明していただき、とてもわかりやすいセッションだと感じました。
エンジニアがプロダクトマネージャーとしての役割を全うするために何をするべきか
木村 衆平 氏/株式会社サイバーエージェント
エンジニアからプロダクトマネージャーに転向してプロダクト作りの何に苦労し解決していたかを紹介されました。 私もエンジニア上がりですが共感できる内容が多く、自社や他社のサービスを使い、裏で何が動いて入るのか?を想像できる力はエンジニア特有の能力が生きる場面だと思いました。 またデータを活用し論理的に立てた仕様や、プロダクトの計画が論理的に説明できない結果に陥ることもあり、論理では説明できない内容も受け入れることが重要だと事例紹介がありました。
プロダクトマネージャーの採用と育成(Google)
Capella Yee 氏/Google, Inc.
Bryan Cheng 氏/Google, Inc.
登壇者2名はAPMプログラムを経てプロダクトマネージャーになり、Capella氏はiOSのGoogle MAPをBryan氏はLocal Guidesを担当とのことでした。 Googleのプロダクトマネージャーは様々な部署をまたいで活動しており、営業、マーケティング、デザイン、エンジニアリング、リーガルなどのチームと協力して入るとのことです。 UXデザイン、エンジニアリング、ビジネスの交わるところがGoogleの場合のプロダクトマネージャーが主に行われる意思決定領域で、コミュニケーションに多くの時間を割き、情報の共有に注力していました。 コミュニケーションの中でも共通認識が非常に重要であり、これがないと修復に非常に多くの時間・労力を有するとCapella氏は考えているようです。 続いてプロダクトマネージャーになるためのAPM(Associate Product Manager)プログラムの説明がありました。 コンピュータサイエンス選考した人が2年受けるプロジェクトで、座学ではなく実際のプロジェクトにAPMとして参加し、OJTで学ぶものとのことでした。 「プロダクトマネージャーになるために」のような専門の講座は少ないようです。 これ以上のことは詳しくは書くことができませんが、会場からは多くの質問が飛び交い及川氏が通訳しながらGoogleのプロダクトマネージャーに対しての思想や課題解決の手法について多くの内容が話されました。
「日本のプロダクトマネージャーは今何をすべきか」
今年のテーマ:広げる、深める、日本のプロダクトマネジメント
馬田 隆明 氏/東京大学 産学協創推進本部 東京大学本郷テックガレージ ディレクター
及川 卓也/Product Manager Conference 2017 実行委員 フリーランス
丹野 瑞紀/Product Manager Conference 2017 実行委員 株式会社ビズリーチ プロダクトマネージャー
関 満徳/Product Manager Conference 2017 実行委員長 グロースエクスパートナーズ株式会社 ITアーキテクト
(ワークショップのセッション) 「Sessionを聴講して気づいたこと、自分が大事だと考えたこと」と「2日間では触れられなかったことで、自分では大事だと考えたこと」を記入し、4人でグループを組みお互いに思ったことを話ました。 個人のワークショップでは「自分が重要だと思ったこと」を投稿し、他の方が投稿したものに「いいね」を押すという流れで進みました。 1番いいねがついた投稿は「プロダクトへの愛」。 プロダクトへの愛は何なのか。及川さん曰く、多くの人に愛されている製品を愛することが重要なのではないかとのこと。 自分がワクワクしつつ、まわりをワクワクさせることもプロダクトマネージャーの仕事の一つである。 しかし、愛を持ちながらも様々な観点で冷静にみることも重要。
馬田さんは、本イベントを通じてメンターの重要性を感じたそうです。しかし日本にはまだプロダクトマネージャーが少ないのが実情です。 オフラインで集まることも重要であるが、オンラインも活用してほしいと及川さん。 海外ではプロダクトマネージャーだけのslackがある。Mediumでもプロダクトマネージャーに関する情報が記事となっている。 過去の製造業で活躍された西堀栄三郎氏の歴史や、SONYの社史なども参考になるとのことでした。
また会社によって、プロダクトマネージャーの立ち位置が異なるようです。ビジネス寄り、技術寄り、ジェネラル寄りの三種。 具体的にはGoogleは技術寄り、Facebookはジェネラル寄り、salesforceはビジネス寄りなどのようにプロダクトマネージャーは会社によって様々のようです。
まとめ
1日目のLTにて紹介したSpeeeが作成しているプロダクトマネージャーとして虎の巻「Product Management Essentials」に興味を持っていただいた参加者がSpeeeブースに多数来ていただきました。
Speeeとしてもプロダクトマネージャー組織が直近できたばかりで、初参加ということもあり、社外のプロダクトマネージャーの文化や施策に触れることができ貴重な二日間を過ごせたと思います。 まだ日本では「プロダクトマネージャー」という言葉、ロールが認知されつつある段階とは思いますが、プロダクトを提供する組織として必要不可欠なロールになると思っています。
最後に今回このような機会を提供していただいたProduct Manager Conference 2017実行委員の皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました。