Speee DEVELOPER BLOG

Speee開発陣による技術情報発信ブログです。 メディア開発・運用、スマートフォンアプリ開発、Webマーケティング、アドテクなどで培った技術ノウハウを発信していきます!

楽しく雑談しながら仕事をしたいので「雑談は役に立つ」という屁理屈をこねてみた

私はエンジニアではなくPMをやっているんですが、

なんか会社のエンジニアさんたちがアドベントカレンダーっていうのをやっていて楽しそうだなと思っていたところ

nishayaさんが「小林さんも書きましょうよ」って言ってくれたので

内心「やった」って思いつつ

「エッ、まあ、他に書く人いないなら書けなくもないと思いますけど〜」とか言いながら書いています。

ということでこの記事は

Speee Advent Calendar 2018 - Qiita

の記事であります

楽しく雑談しながら仕事したい

私は普段PJD(プロジェクト推進室)という部署で働いているのですが、8名いるPJDの仲間といつもくだらないことや自分の好きなこと(大体はガンダム)、我が家の子供の話しなどをしながら仕事をしています。

楽しいです。

周りのみんなは優しいです。ガンダムの話ばかりするPMを「やれやれ」と思いながらも暖かく見守り、仕事の話になると「この課題ってどうやって解決したらいいのかな?」としか言わないのにちゃんと解決策を提案してくれて。

私の感覚を正直に話すと 「なんか気がついたらみんなが仕事終わらせてくれてた」 っていう感じです。

楽です。

というのはさすがに大げさではありますが、ざっくりとした大枠でいうとそれほど実態とかけ離れたことは言っていないと思います。

そうなんです。雑談しながら仕事がしたいんです。

でも雑談って成果に結びつかなくない?無駄じゃない?

そうなんです。こういう疑問はやっぱり出るんです。

今まで、正面からこの問題に対峙してこなかったんですが、アドベントカレンダーに参加するというきっかけを使って、ここに向き合ってみようかと考えました。

SpeeeのPJDでは、雑談の効果をどう捉えているのか

ここからは、ちょっと真面目に語りたいと思います。ほんのちょっとだけ。

そもそも、雑談(またはそれに類するコミュニケーション)の効能は、様々な書籍で取り上げられている

先に言っておきますが、雑談だけしてればなんとかなるとかそういうことではないです。そこは大人ですのでちゃんとわかっています。でも 心理的安全性 が大事とか最近よく言うじゃないですか。

あの手の話って、Googleのプロジェクト・アリストテレス以外にも様々なところでその要素については言及されているんです。

もちろん、組織論の様々な要素のうちの一つとして、という扱いではあります。

ですがここで私が主張したいのは「雑談だってちゃんと意味はあると言われてるんだから、 無駄だからなくせとは言わなくていい 」というところまでですので、その辺りはふわっとしててもよしとします

ただここで取り上げる書籍はどれも名著と言っていいものですし読んでみることはオススメします。

アジャイルエンタープライズ

アジャイルエンタープライズ (Object Oriented SELECTION)

アジャイルエンタープライズ (Object Oriented SELECTION)

弊社では結構話題のアジャイルエンタープライズです。

弊社VPoE大場にすすめられたので一生懸命読んで、要点まとめたりしてたら大場に褒められました。やったぜ。

さて、アジャイルエンタープライズには「COMETS」というのが出てきます。

  • コラボレーション(Collaboration)
  • オーナーシップ(Ownership)
  • モチベーション(Motivation)
  • エンパワーメント(Empowerment)
  • 信頼(Trust)
  • 安全(Safety)

の頭文字をとってCOMETSです。

特に私が「いい!」と思ったのは信頼に関する記述です。

信頼は獲得するものだという人もいます。私は信頼は与えられるものだと思います。

--中略--

それよりも、信頼することから始めましょう。アジャイル銀河を取り巻くCOMETSの文化には、「否定的で敵対的な世界観」よりも「肯定的で好意的な世界観」が適しています。

*1

そうです、肯定的で好意的な世界観を築くために、 雑談は役に立つはず です。

何故って、相手を信頼するためには相手を知ることが必要です。

そう、雑談には相手を知るための情報が詰まっているのです。

ティール組織

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

こちらも有名な書籍ですね。グリーン組織の先の組織の形としてのティール組織ってやつです(適当)

いや、本の中身自体は読んでいただけばいいんです。私は雑談が必要であるということを言いたいだけですから。

ものすごーくざっくり要約すると、ティール組織には3つの要素があって

  • 進化する(組織の)目的
  • セルフマネジメント
  • ホールネス(個人としての全体性の発揮)

というのがあるのですが、私が取り上げたいのは「ホールネス」です

メンバーの多様性を尊重し自己実現を促し、またメンバーが不安を感じないように心理的安全を担保することが求められる。

*2

というのがホールネスの簡単な説明です。

ここでも出てきましたね、心理的安全性。

そうなんです、私は周りのみんなが不安を感じないように、普段の雑談量を増やそうとしているのです!!(ドヤア)

なんかロジックが弱いと思われるかもしれませんが、普段から話をする相手に対しては不安を感じにくいって、ありませんか?私はあると信じています。 雑談による不安の減少。

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる

この書籍についてはサイボウズさんの

cybozushiki.cybozu.co.jp

この記事が詳しいです。

組織の「発達」が、「ホーム」「エッジ」「グルーヴ」という3つの軸の相互作用から生まれる

「ホーム」とは、発達を後押しするコミュニティのことで、安心安全な場です。DDOではみんなが弱さをさらけ出し、内面の弱さも外面の弱さも共有するので、そこに付け込まれるようではどうしようもない。だからホームが必要です。

この「ホーム」という概念でも出てきました。「安心安全な場」

そもそも、人間は知らないものに対して恐怖するように作られていると思うのです。やはり 雑談によってお互いを知る ことが、ホームの形成に一役かうと思うのです。

学習する組織

学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する

  • 作者: ピーター M センゲ,Peter M. Senge,枝廣淳子,小田理一郎,中小路佳代子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: 単行本
  • 購入: 3人 クリック: 89回
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ピーター・センゲの有名な「学習する組織」です。

この書籍からはこんな図を引用したいと思います

f:id:yuta-kobayashi:20181210195331j:plain
『「学習する組織」入門 』からの引用
*3

これは関係性の質、思考の質、行動の質、結果の質はフィードバックループを作っていて、

関係性の質を起点とした場合に、これが悪ければ後続の全ての要素が悪影響を受け、さらに関係性の質を悪化させるし

逆に関係性の質が良ければ後続の全ての要素が好影響を受け、正のフィードバックループが発生するというものです。システム思考ですね。

で、この関係性の質を変えられるのが「場の質」ですという図です。

考えてみてください。雑談が全くない「場」は、場の質が高いでしょうか?

雑談が適度に交わされている「場」の方が、場の質が高いのではないでしょうか?

雑談という安心感のある「場」が 関係性の質を向上させる という仮説です!!!

謙虚なコンサルティング

謙虚なコンサルティング――クライアントにとって「本当の支援」とは何か

謙虚なコンサルティング――クライアントにとって「本当の支援」とは何か

エドガー・シャインの謙虚なコンサルティングです。

日本では2017年発行ですかね、組織心理学の先生の書いた書籍ですね。

これはもう僕はとても共感したのでページ数も書いておきます。

60ページに書いてあります。

わかりません。賛成できません。よくない報告がありますといった言葉を、部下が安心して言える環境こそまずは必要

*4

これです。そうです、このために 雑談なんです

普段から雑談してて、 どう言ったらどう答えるかの予想がついている状況 であれば

「この人にこれ言ったら怒るかな」「これは言ったら傷つけちゃうかもしれないし、指摘しないでおこう」みたいな余計なことは考えなくて済むようになります。チーム開発やプロジェクトマネジメントにおいて、これはとても大事なことだというのはきっとみなさんにも賛同していただけると思います。

その他

その他、以下のような書籍にも、信頼や安全性といった要素の重要性が書かれています

  • WORK RULES:「人を信用する」「発展的な対話」
  • WORK SHIFT:「ポッセ」
  • メンバーの才能を開花させる技法:増幅型リーダー
  • エンジニアリング組織論への招待:信頼関係(アクノレッジメント)

有名な書籍ばかりですね。

どうですか、信頼とか心理的安全とかのような要素って、 これだけの書籍で取り上げられている んですよ!

まとめ

どうですか?ここまで読んだらもう

「いやいやとはいえ雑談なんて無駄っしょ、今すぐやめて、業務に集中せい!」

なんて言えないって気になってきませんか?

というわけで、私もPJDも、明日からも 楽しく雑談しながら仕事をして、

なおかつ「 解き尽くす。未来を引きよせる。 」を実現していきたいと思っております。

そして、それは絶対に両立できるものだと考えています。

なんか変な記事書くやつだなーと思ったそこのあなた、

ちょっとでも気になったのであれば是非弊社のラウンジにお越しください。

ガンダムの話でもしましょう!!w

あ、あと、これらの書籍はほとんど自腹では買っていません。

弊社、SpeeeLibraryというものがありまして、Libraryにない書籍も月1万円まで買ってもらえるのです!いいだろ〜^^

*1:アジャイルエンタープライズ 7.8 信頼 より(p1516)

*2:https://hcm-jinjer.com/media/contents/b-contents-composition-teal-0305/ より引用

*3:この画像は『「学習する組織」入門』という書籍を写した写真です

*4:謙虚なコンサルティング 2 謙虚なコンサルティングはどのように新しいのか より(p60)