不動産DX事業部でプロダクトマネージャーをしている酒井(@ryo-touch)です。
新卒で入社してからビジネスサイドとエンジニアサイドを横断しながら仕事をしていくようになって、最初の頃は以下のような不安を抱えていました。
- 中古不動産売買の業界について全然明るくない、これから興味を持てるかも分からない
- エンジニアと一緒に働くけど自分は技術のことに全然明るくないし、難しそう
こういった不安に対して、「自分の知的好奇心を開放すること」で解決していきました。興味をもって問いを立て探求していくことで、結果として目の前のものがすべて面白く映るようになりました。自分が自分で仕事を面白くするコツ、とも言い換えることができます。
この記事では、不動産DX事業に5年携わって振り返る、自分なりの「仕事を面白くするコツ」について扱います。
目次はこちら
仕事を面白くするコツは、自分の知的好奇心を開放すること
自分なりに、知的好奇心の意識が向いてることを整理しました。
目的を知り、目的によって周囲を巻き込むこと
ぼくたちは「新たなバリューチェーンを創造し、エンドユーザーに最良の顧客体験を届ける」ことを「DX Democracy1」として掲げています。
エンドユーザにとっての「最良の家を売る体験/買う体験」は本当に様々です。そういった多種多様な人たちに対して良い体験を届けたいと考えると、やりたいことは沢山生まれてきます。
やりたいことが沢山あるからこそ、目的達成に対して必要十分か?と目的に立ち返って考え、やることを決めていくことが求められています。
抽象的な要求を具体に落として課題解決をしていくときは、まず目的を整理し自分の言葉で話せるように解釈し、ドキュメントに書き残すようにしています。ドキュメントに残しておけばアウトプットが目的を実現するものになっているか確認できますし、チーム全員で共有することができます。
目的を共有することは、チーム全体にも大きな影響があります。プロジェクトの目的を自分の言葉で、熱をもって語るようになると、全員が同じ方向を向いてユーザーの課題解決に全力を注げるようになり、勢いが生まれ、仕事が面白くなります。
目的によって周囲を巻き込むことは入社して得た大きな学びの一つでした。目的や背景を深く理解し考えることで、自然と仕事が自分ごとになっていくことに気づきました。
相手の専門領域に興味を持つこと
社内では橋渡し役割を担っているため、開発/マーケ/Ops/営業/管理など、幅広い部署との協働が不可欠です。むしろ、他部署との協働を通じてチームとして大きな価値を生み出すことが自分の出す成果です。
ぼくは異なる専門領域を持つメンバーをどう巻き込んでプロジェクトを大きく推進するか?という問いにこたえる必要がありました。
振り返ってみると、相手の専門領域に興味を持つことが、円滑なコミュニケーションとプロジェクト推進に寄与していました。
ぼくはエンジニアと仕事するようになって5年が経っても、コードからアプリケーションが動くこととエンジニアのプロフェッショナルさに感動し続けています。一緒に仕事をしているなかでエンジニアリングへの興味が生まれ、彼らが書いているコードがどう動いているか質問して教えてもらい、施策のコード変更部分を読んでロジックを理解しようとするようになりました。
「技術発想によるインパクトの出し方が面白い」と考えはじめ、他部署から受けた相談に対しても技術発想によって乗り越えるパターンが増えました。
また、不動産売買という専門領域に対しても、プロダクト利用状況の分析や顧客とのお打ち合わせを通して興味が湧いていきました。
自分たちの考えた仮説や機能が顧客にマッチしなかったときにはうまくいかなかった要因について分析やヒアリングを行い、そこから新たな仮説を立てて機能改善を行い検証します。そのサイクルのなかで新しく分かることが増えていくことが面白くて、入社直後に感じていた「不動産売買について興味を持てるか分からない、不安だ」という感情はどんどんと薄れていきました。
実際に手を動かして実践すること
実践することで分かることも多くあります。技術発想の面白さに気づいてからは、社内オペレーションの整備が急務だった当時の状況も相まって、自分でシステムを作ることによる業務効率化の可能性に着目するようになりました。
それから勉強してGAS2とBigQuery、スプレッドシートを活用した社内オペレーション用のシステムをいくつか自分で実装しました。これはオペレーション改善を高速で利かせやすく、うまくワークしました。ぼくとOpsチームとで連動しながら改善の柔軟さを担保でき、スピード&クオリティを実現できたことが良かったです。
一方で、GitHubのコードを修正してコミットしたこともあります。これは失敗でした。基本的に影響範囲が社内ツールのみで、修正内容が簡単な確信があるときだけコミットしていたのですが、テスト修正で詰まってしまい逆にチームの開発スピードを落とす行動になってしまいました。
動くシステムをつくる経験や、作ったシステムが実運用で利用されることの喜びや面白さを経験できたことは本当にいい経験でしたが、餅は餅屋でした。やっぱりエンジニアはすごいです。
知識を蓄え、抽象化し構造に落とし込み、関係性を見つけること
異なる2つ以上のものごとから関係性を見出すことで新たな発見ができ、新たな知識やアイディアが生まれます。そうして出したアイディアで目的を達成できたときは、本当に仕事が面白く感じられます。
書籍『アイデアのつくり方3』には「事実と事実の間の関連性を探ろうとする心の習性がアイデア作成には最も大切なものとなる」と書かれています。書籍『センスは知識からはじまる4』では、「あらゆるものを知識として蓄えることがアウトプットの質を高める」と書かれています。
図を書いて構造的に考えることは書籍『頭がよくなる図化思考法5』を読んで意識するようになりました。ぼくは新しい情報にふれるとき、紙とペンやFigmaで図やフローチャートに落とし込みながら考えるようにしています。図にして捉えることで全体を俯瞰でき、既知の知識との共通点を見つけることで新しい発見が生まれています。また、図にする作業を通じて膨大な知識を整頓して引き出しにしまうことで、記憶にも定着しやすくなっています。
目的に対して大きなインパクトのあるアイディアを生み出すためには、日頃から感度高くアンテナを張り、観察することでたくさんの知識を蓄え、抽象化し構造に落とし込むことがポイントだろうと考えています。
「知らない」ことを受け入れること
「無知の知」のように、「知らない」ことを受け入れることから知るための行動がスタートします。プロダクト開発では答えのない山積みの課題に向き合い、分かったことを積み上げることが重要です。
知らないことの不安から逃げ出したくなる時期もありますが、課題は向き合い続けることでしか真に解決しないと考えています。
逃げずに立ち向かうということは、意思決定を積み重ねるということでもあります。意思決定の数だけチャレンジができ、実践することで分かった知識を増やせます。同時に自信を持てる意思決定のサイズが大きくなり、さらに大きなチャレンジができるようになりました。
おわりに
書いたことをいつも100%でできているわけではないですが、振り返ってみるとこういった点を意識して乗り越えてきた壁がいくつもありました。
気になるから調べるし、調べるから新たに気になることが生まれる。分かることが増えるから実践してみたくなる。実践するから分からないことが生まれ、それを仲間に聞いて、また分かることが増える。知らないことに向き合い続けた結果積み上がった、知ることの連鎖が「知的好奇心を開放する」ということなんだと解釈しています。
「知的好奇心を開放しよう」というコピーはSpeeeの「知的好奇心の探求」というカルチャー6から引用していて、ぼくの好きなカルチャーです。
知的好奇心の探求
継続的な成長とはインプットとアウトプットの循環により実現される。良質なアウトプットの前提となるインプットのために、知的好奇心を開放しよう。
自分たちが作ったサービスがきっかけでユーザーの心や生活が変わり、社会が良い方向に変わる。そんなサービスを作れる人材になれるようになりたいと思っています。そのために、引き続き自分の中の知的好奇心を開放していきます。
この記事は、2024 Speee Advent Calendar 5日目の記事です。昨日の記事はこちらから。 tech.speee.jp
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- 日本を代表するDXカンパニーを目指し、ブランドステートメント「DX Democracy」を策定 - 株式会社Speee↩
- Google Apps Script の略↩
- ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』CCCメディアハウス、2017年↩
- 水野学『センスは知識からはじまる』朝日新聞出版、2014年↩
- 齋藤孝『頭がよくなる図化思考法』SBクリエイティブ、2010年↩
- https://speee.jp/about/speee-style/↩