Speee DEVELOPER BLOG

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「意図的にひずみを起こす」ことでプロダクトの拡大を目指していく

※この記事は、2022 Speee Advent Calendar16日目の記事です。

はじめに

Housii(ハウシー)という完全会員制の家探しサービスにおいてディレクターをしている中分(なかぶん)です。 Housiiは、2022年4月に正式リリースされたプロダクトで、家を買いたいユーザー様と家を売りたい不動産会社様をつなぐプラットフォームとなっております。

今回は、新規プロダクトにおいて僕が取り組んできたことを通じて得た「意図的にひずみを起こすことでプロダクトの拡大を目指していく」ことについて書いていきたいと思います。 僕自身、社内異動で異業種からディレクターとなり、未経験のところから取り組みを進めてきました。

この記事は現在ビジネス側にいて今後プロダクト開発に興味がある方やすでに今ちょうど取り組んでいる方の少しでも参考になればと思い書かせていただきました。 よろしくお願いします!

意図的にひずみを起こすとは

自分なりの定義

まず結論ですが、意図的にひずみを起こすというのは、「今のバランスを適切に見極めたうえで、短期的には悪影響が出たとしても、中長期的に拡大均衡にバランスすることを目指す」ことを指します。

バランスを取ろう取ろうとすると大きな改善ができずに縮小傾向になりがちですが、あえてどこかが突破することで周囲も突き抜け、全体で拡大均衡をとることができると考えています。

イメージとしては、自分に自信が持てなかった空手家の子がまずは体を鍛えることで自分に自信が湧いて、練習にも前向きに取り組めるようになり、心技体そろった空手家になるみたいな感じかなと思います。

重要だと考えているポイント

ひずみという言葉はネガティブにとらえられてしまいがちですが、ひずみを偶発的ではなく意図的に起こすことで僕はポジティブな影響を及ぼせるのではないかと感じています。 この「意図的にひずみを起こす」ことにおいて重要だと考えていることは以下の2つであり、この学びを得た経験について書いていきます。

  1. 今のバランスを適切に見極めるために一次情報を取りに行く
  2. どのレバーを引くかをチーム内で共通認識を持つ

今のバランスを見極めるために一次情報をとっていく

僕自身の役割

僕はこの1年で開発ディレクターから始まり、カスタマーサクセスの営業企画、ユーザー集客の3つの領域において役割を担わせていただきました。 HousiiはBtoBtoCのモデルのプロダクトであるため、上記の3つを担当することで、ユーザー様が会員登録してから実際にHousiiを利用していただく流れを把握することができ、僕個人としてはユーザーストーリーの上流から下流にかけてを各役割の視点をもとに理解することができたのはとても良い経験でした。

どんな問題があったか

当初は、カスタマーサクセスや新規営業といった社内の方にヒアリングさせていただきながら施策を考えていました。サービスとしてまだ立ち上がったばかりで機能として不足しているものが多く、他社様の事例やカスタマーサクセスの方が吸い上げた要望などを参考に施策自体は考えることができていましたが、事業責任者やPdMに施策の説明をすると、「こうしたほうがいいのでは」と別の施策を提示されたり、「なぜそう考えた」というような説明を求められることが次第に増えていきました。原因として、自分がなぜこの施策が必要なのかを実態に即して説明できておらず、「○○という風に聞いた」といった二次情報をもとに話をしており手触り感がなかったのが要因だと考えました。

問題を解消するためにとった行動と効果

そこで、確信を持てるくらいの手触り感を得るために一次情報を得る行動をとっていきました。具体的には、実際のカスタマーサクセスの営業定例ミーティングに参加したり、ご成約になったユーザー様にインタビューさせていただきました。不動産会社様の業務をミーティングで聞くだけでは理解できない部分があり、実際に2日程度実際のクライアント企業様に許可をいただき、常駐して実際の仕事ぶりを見学させていただいたりもしました。このようなことができたのは、普段からカスタマーサクセスの方が良好な関係を作ってくださっていること・自分たちが目指したい世界観に共感してもらえていたからだと思います。

上記のような取り組みをすることで、実際にご利用いただく企業様やユーザー様のイメージが湧き、プロダクトをどうしていくべきかの方向性と、現時点でできていることとできていないことを把握することができました。これができると事業責任者やPdMへの説明で納得を得られることが増え、開発チームにデリバリーするときも説明がしやすくなる副次的な効果も得られてリファインメントでは、その課題をどうやって解決するかのHowの部分の議論によりフォーカスしてアイディアをもらうことができるようになりました。目線とスコープがすりあうことでより良い案が出やすくなったと感じています。 僕自身の場合は手触り感を持てているかの水準としては、具体的に利用する人の行動がイメージできていて、その行動をより良い方向にもっていくことに確証が持てていることだったのかもしれないなと今思うと感じます。

バランスを知ったが故に陥った罠とその突破口

どんな罠があったのか

各種の現状を理解することができたことで施策の納得感を得られるようになりましたが、現場を理解してしまったばかりにものごとを今の延長線上でしか考えることができなくなってしまいました。バランスを取ろうとするとどうしても大胆に改善することができず、縮小均衡に陥ってしまい事業をスケールさせることができていないもどかしさを感じていました。

一例を出すと、「不動産会社様は本当に今すぐにでも家を買いたいユーザーだけ対応したい」ということに対して、額面通りに受け取ると「今すぐにでも家を買いたい人だけを集めよう!」となるのですが、不動産会社様が求めていることはそれぞれ異なりますし、特定の声を解消するだけでは解決になりません。むしろ、様々なニーズを持つユーザー様に登録していただくことで逆に不動産会社様のニーズが解消されることにつながるかもしれないのです。このように今まで行っていた延長線上では根本解決には至らないことを身をもって痛感しました。

どう突破しようとしているのか

なので、バランスを取ろうとするのではなくどこかでひずみを起こすことが重要なのではないかと考えました。どこかが課題を突破することで周囲もそれに合わせて突き抜けようとして、次のフェーズで均衡を見つけることができる。特に僕が取り組んでいる事業がBtoBtoCのサービスであるということもあると思いますが、より多くのマッチングを生み出すためには特に重要だなと感じています。しかし、ただひずみを起こすと本来はスケールに割いていた力をバケツの穴を埋める作業に投下せざるを得ず、事業をのばすことに力をさけなくなってしまう可能性があります。そこで重要なのが「意図的に」ひずみを起こすことだと考えました。

どのレバーを引くかをチーム内で共通認識を持つ

意図的にというのはチーム全員で起こりえるメリット・デメリットの目線を合わせておくことになるかと思います。想定できていることでリカバリーが必要かどうかをすぐに判断できますし、一次情報を知る方からの違った視点を得ることができます。

ここでさらに個人的にありがたかったのはそのひずみを起こすにあたってどの程度ひずみが許容できるのかをそれぞれの視点から持つことができていたことです。カスタマーサクセスとしてはここまでは許容できそうだということが当事者として取り組んできたことで感覚として理解ができているという感覚でしょうか。このように考えることで意図的にどこを崩すとよさそうかのイメージをつけることができました。まだ道半ばですがこの視点を持ってプロダクトの拡大に向けて今まで以上にギアをあげて取り組んでいきたいと思います。

これから取り組んでいくこと

現在は、主にマーケティングに役割を絞って取り組みを進めています。世間でいうところのプロダクトマーケティング、職種でいうところのPMMが近いのかなと思います。Housiiというプロダクトをどうやったらより多くの方に知ってもらえ、なおかつ自分の生活を豊かにしてもらえることに確証を持ってもらうかについて考えています。今まで得てきた、様々な視点からの知見を活かして、ユーザー様がどういったものを求めているのか、それをどう表現するとユーザー様は気付いてくれるのか、ここを解き尽くすことができればまわりまわって不動産会社様にも価値が届いていくのではないかと思っています。

終わりに

最後までお付き合いいただきありがとうございました。今回は僕自身が1年かけて取り組んできた中で得ることができた気付きについて書いてきました。「意図的にひずみを起こす」これは正直今回この記事を書くにあたり「こういうことなのでは」と振り返ってみるとこういうことかもなと思ったことになるので取り組んでいる当初は考えることができていませんでした。(当時はマーケティング・開発・カスタマーサクセスと様々な業務を成立させること自体に躍起になっていました。)ぜひ同じような形で取り組まれている方がいらっしゃれば意見交換させていただけますと幸いです。

終わりにといった後の最後に

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※この記事は、2022 Speee Advent Calendar16日目の記事です。 昨日の記事はこちら

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